最終回

皆さんこんにちは。
先ほど「発売!」ブログをアップしましたが……

 

私は自分の気持ちを抑えることができませんでした。

 

どうしても『貴族と奴隷』が書店に並んでいる姿を見たい!
どうしても発売日の今日!店頭に行きたい!

 

ということで、

来ちゃいました。

 

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わ~!並んでる~。・゜゜ ‘゜(*/□\*) ‘゜゜゜・。

 

書店photo

                                           撮影協力:紀伊國屋書店新宿南店

 

今までブログを書いてきたこともあり、大感動でした。

 

この感動を、今までブログを支えてくれていた皆さんと共有したい。
その思いで今、最後のブログを更新しています。

 

そう、このブログも『貴族と奴隷』発売の本日をもって終了となります。

 

今まで読んで頂いていた皆さんに心から感謝いたします。
本当にありがとうございました。

 

『貴族と奴隷』は本当に自信を持ってお届けできる作品となっております。
皆さんぜひお楽しみください!

 

それでは、今まで本当にありがとうございました。
また会う日まで♪

 

 

 

先行配信vol.6

  歩きながら彼女の姿を想像する僕は無意識のうちに、
 「藤木さんは今日部活かな?」
  直人に訊いていた。
 「たぶんな」
  僕は彼女を思い浮かべたまま「そっか」とつぶやいた。
  直人は一拍置いて、
 「てか急にどうしたんだよ」
  僕を不思議がる様子で訊いてきた。
  僕は自分のほうから彼女の話題に触れていることに気づきひどく慌てた。
 「あ、いや、僕じゃなくて藤木さんを誘えばいいのにと思って」
  直人は僕に冷やかされたと思ったらしく、
 「バカ! そんなの無理に決まってるだろ。無理無理」
  僕の耳元で叫んだ。
  左耳がキンとなって、僕は耳元で大声出さないでよ、と言ったのだけれど、直人に僕の声は届いていないらしかった。
 「どうしたの?」
  真剣な声の調子で尋ねると直人は立ち止まり、
 「いや、九時の方角で子供同士がオモチャの奪い合いしてるんだ」
 「喧嘩?」
 「いや喧嘩ってより、一人がもう一人をイジメてるように見えるぜ」
  それを聞いた瞬間僕は暗い気持ちになると同時に、ある嫌な出来事を思い出してしまった。
  直人も真っ先に僕の話を思い出したらしく、僕の右肩に優しく手を置いて、
 「そういえばここ最近は大丈夫か?」
  僕はうなずき、
 「春休みに入ってからは」
  と言った。
  直人は舌打ちして、
 「マジでゲス野郎だよなそいつ。正体がバレないからってよ。卑怯すぎるぜ。早く死んでくれねえかな」
  恨みと憎しみのこもった声で言った。
  僕は直人とは違って怒りとか憎しみを覚えるというより、ただただ悲しい。
  まだ母さんには話していないのだけれど、三ヶ月くらい前から僕は嫌がらせを受けている。
  登校時や下校時、一人で歩いていると背後から忍び寄ってきて、いきなり僕の白杖を蹴ってきたり、引っ張ったりしてくる奴がいるのだ。
  同一人物だと思うのだけれど、僕には犯人の正体が分からない。すぐ目の前にいるというのに。
  やめてくださいと言ってもやめてはくれず、僕が嫌がっているのをクスクス笑って楽しんでいる。けれど決して言葉は発しない。
  大声で叫ぶと逃げていくのだけれど、一週間くらい経つとまた現れる。
  これまで僕は僕の知らないところで差別的なことを言われてはいただろうけど、直接的な嫌がらせを受けたことはなかった。
  笑い声からしてきっと少年だと思う。
  ただ弱い者イジメがしたいだけなのだろうか。
  それとも僕に何か恨みでもあるのだろうか。
  僕のことが嫌いなら嫌いでもいい。
  気に入らないことがあるのなら謝るから、どうかそっとしておいてほしい。耳を澄ますとイジメている子の乱暴な声が聞こえてくる。「俺の命令を聞け!」「早く渡
 せ!」と。
  やがてイジメられている子の泣き声が聞こえてきた。
  泣きながら、「返して返して」と叫んでいる。
  僕は胸が締め付けられる思いだった。
  直人の袖を引っ張り、止めにいってあげてと頼んだ。直人は僕に「ここで待ってろ」と
 言って子供たちの下に向かった。
  道路に一人立ち尽くす僕は二人が仲直りできるよう心の中で願う。
  しばらくして直人が僕の下に走って戻ってくるのを気配で感じた。「バスが来てるぞ伸也」
 という直人の声がして、僕は白杖を前に出して地面を確認しながら道路脇に避けて、バスが通り過ぎるのを待っていた。
  やがて直人が隣に戻ってきて、僕を安心させるように僕の左腕をしっかりと掴んでくれた。
  僕は子供たちがどうなったのか気になって直人に訊いたのだけれど、直人はそれどころじゃないといった様子でこう言った。
 「なんだあの〝メイサイバス〟は」と。
  バスのエンジン音で聞き取りづらかったけれど直人は確かにそう言ったと思う。
 〝メイサイ〟って何だろう、と考えていると、すぐ横でバスが停車したのが分かって、扉が開き、バタバタと人が降りてきて僕たちの下に近づいてきた。なのに無言だから不気味だった。
  直人が後ずさりながら「何だよ!」と叫ぶ。ひどく狼狽しているのが分かった。
  僕も何だか怖くなって後ずさったのだけれどいきなり直人と引き離されて、身体を担がれた。体つきですぐに男だと分かった。
  どうやらバスの中に運ばれるらしい。
  僕を担ぐ体格のいい男の口元から、シュコー、シュコー、と妙な音が聞こえてくる。生まれて初めて聞く音だった。
  どうやら直人も担がれているらしく「降ろせ降ろせ」と叫んでいる。
  やがて車内で降ろされ、僕は首を左右に振りながら近くにいるであろう男に「何をするつもりですか?」と震えながら問うた。
  男は何も答えない。やはりシュコー、シュコーと聞こえてくるだけだ。
  直人いるの? と手を伸ばした矢先、
 「藤木!」
  直人が僕の後ろで叫んだ。
  藤木って、まさかともえさん?
 「二ノ宮に、佐伯に……所まで」
 「どういうこと直人?」
 「皆……気を」
  だんだん直人が脱力していくのが分かる。
  僕も空気を吸っているだけなのにフラフラしてきた。
  恐ろしいほどの睡魔が襲ってきて、眠ったらいけないと自分に強く言い聞かせるのだけれど、両足首を掴まれて引きずり込まれたかのように膝が崩れ落ちて、僕は別の闇に吸い込まれていった。

伸也たちを拉致した迷彩バスの正体は?
連れ去られた先で過酷な実験がスタートする!


この続きは明日発売の本編で!

 

 

山田悠介 登場!

『貴族と奴隷』ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
いつも応援していただいてありがとうございます。山田悠介です。
文芸社さんから、ぜひブログにコメントを、とお話があったので、
明後日発売になる僕の最新刊『貴族と奴隷』について、ちょっとお伝えさせていただきます。

 

すでにHPやPVでも紹介いただいているとおり、この作品は子供たちが「貴族」と「奴隷」に分かれて過酷な生活を送る物語です。
人間は誰でも、「○○学校の生徒」「○○部の選手」「○○会社の社員」「○○君のお母さん」などなど、いろんな立場、肩書を持って生きています。
その肩書に相応しいファッションや言動をすることで、毎日の生活がスムーズにおくれています。

 

でも、ふと思います。
「本当にその肩書が、その人の本性なのか?」
「肩書が先にあるから、それに合わせて生きているだけじゃないのか?」
「もし、その肩書を強制的に変えられたら、人間はどうなるんだろう――」
そんなアイデアから「貴族」と「奴隷」という極端な肩書きをつけられた中学生たちの物語が生まれました。

 

作中に登場する中学生たちは、その状況にはじめは戸惑い、反発します。
ところが長くその生活が続いて行くうちに、いつのまにか、貴族役は貴族らしく尊大に、奴隷は奴隷らしく卑屈になっていきます。
それでも主人公・伸也と仲間たちは、なんとか状況を変えようと奔走していくのですが、それがさらなる悲劇を生んでいきます。

 

「もし、自分が貴族や奴隷になったら――」
そんなことを想像しながら、ぜひ物語を楽しんでみてください!
皆さんの中にも伸也やともえ、直人や平瀬が眠っているかもしれません!!